40代・子育て家庭、教育費と老後資金から購入予算を比べる

40代で子育てをしながらマンションを買うなら、今月払える金額だけで予算を決めると、教育費が増える時期や退職後に負担が残ることがあります。購入額を抑える案と、広さや立地を優先する案を、教育費のピークと退職時の残債で比べるのが出発点です。
子どもの年齢、進路、働き方によって結果は変わります。ここでは親40歳、子ども9歳・12歳の仮の家庭を使い、何を比べれば判断しやすいかを見ていきます。
住宅費を払った後に、教育費の準備と老後の積立を続けられるかを確かめます。銀行の借入可能額は、家計の余裕を保証する数字ではありません。
まず教育費が重なる年を置く
この家庭では、親が46歳のころに上の子が18歳、下の子が15歳になります。大学進学や高校入学を考えるなら、購入から6年前後でまとまった支出が重なる可能性があります。
「教育費は将来の話」と一括りにせず、入学、受験、塾、通学、自宅外生活などを年ごとに並べましょう。進路が未定なら、公立中心の案と私立や自宅外通学を含む案の二つを作れば、選択肢を残すための金額が見えてきます。
文部科学省の2023年度調査の訂正版では、子ども1人当たりの年間学習費総額は、公立小学校約36.7万円、公立中学校約54.2万円、公立高校約59.7万円です。学校教育費、給食費、学校外活動費を含む平均で、大学の学費や自宅外生活費は含みません。
現在の教育費とこの平均を両方家計から引くと、二重計上になります。平均は将来の進路案を点検する入口に使い、今支払っている塾代等を含む実額へ置き換えてください。
参考:令和5年度子供の学習費調査(2026年1月16日訂正版)|文部科学省
借入額の差を毎月の余裕で比べる
借入3,000万円と4,000万円を、年2.0%、25年、元利均等、ボーナス返済なしで比較します。金利は全期間一定とした説明用の仮定です。銀行の提示金利や物件の相場を示すものではありません。
管理費、修繕積立金、固定資産税・保険料等の月割りを合わせて月4万円と仮置きします。実際には住戸ごとの請求額と見積書が必要です。購入時の諸費用は別に用意します。
| 比較する項目 | 借入3,000万円 | 借入4,000万円 |
|---|---|---|
| 毎月のローン返済 | 約12.7万円 | 約17.0万円 |
| 月4万円を加えた住宅費 | 約16.7万円 | 約21.0万円 |
| 25年の返済総額 | 約3,815万円 | 約5,086万円 |
| 完済する年齢 | 65歳 | 65歳 |
差は月約4.2万円です。仮にこの差を6年間積み立て、利息を考えなければ約305万円になります。進学時の備えになる一方、住宅費を抑えるために送迎や通勤の負担が増えるなら、その費用と時間も比較に戻す必要があります。
月約4.2万円
3,000万円と4,000万円を同じ条件で比較
約305万円
差額を毎月積立。運用益なしの仮の計算
維持費のうち、将来増える可能性を見たいのは修繕積立金です。今の額だけでなく、段階的な増額予定と一時金の有無を読み、月4万円という仮定で足りるかを確かめましょう。

期間を延ばす案も残債で比べる
4,000万円を同じ年2.0%で35年に延ばすと、月の返済は約13.3万円まで下がります。親40歳なら完済は75歳です。25年返済より毎月は楽でも、65歳で完済する計画にはなりません。
比較するときは、銀行の返済予定表で65歳時点の残高を出してもらい、退職後も払う案、退職前に返す案、借入額を減らす案を並べます。退職金を全額返済へ回す計画では、生活費や医療費の備えが薄くなることがあります。
年金額は世帯平均から推測せず、本人のねんきん定期便等と、勤務先の退職金・定年後の働き方で置き換えてください。配偶者がいる場合は、二人の収入が変わる年を別々に置くと、同じ年に減るとは限らないことも分かります。

金利と修繕費が増える案も見る
年3.0%が全期間続く別の仮定では、25年返済の月額は3,000万円で約14.2万円、4,000万円で約19.0万円です。年2.0%のケースから、月約1.5万円・約2.0万円増えます。
これは金利上昇の予測でも、変動金利の返済額が直ちにこう変わるという説明でもありません。予算に余裕があるかを見るための比較です。銀行には実際の金利タイプ、返済額の見直し条件、保障の上乗せ金利を含めた試算を依頼します。
マンション側では長期修繕計画、積立金の残高、増額予定を確認します。教育費が重なる時期に増額も重なるなら、物件価格を下げるか、手元資金を厚く残すかを検討できます。

二つの候補を同じ条件に揃える
住宅費を抑える案には、教育費・老後資金の積立を残しやすい利点があります。立地や広さを優先する案には、通勤や送迎の時間を減らす、長く住みやすい間取りを選ぶ、といった意味があります。どちらが適切かは、価格差で得られる生活上の利益と、家計の余裕で決まります。
候補を二つに絞ったら、借入額、金利、期間、維持費、購入時の現金支出を同じ書式に揃えてください。その上で、教育費が重なる年と65歳の年に、預貯金がいくら残るかを確認しましょう。残額が希望する備えを下回るなら、契約前に価格・期間・頭金の組み合わせを見直すことが次の一歩です。





