住宅ローンの繰上返済とは?2つの方法と注意点を解説

繰上返済とは、毎月の返済とは別に住宅ローンの元金を前倒しで返すことです。元金が減るため、将来支払う利息を減らせます。
繰上返済では、返済後にいくら手元資金を残せるかを考えることが大切です。お金を使いすぎると、生活費や教育費、マンションの維持費に備える資金が不足する可能性があります。利息軽減と、返済後の資金の両方で判断しましょう。
住宅ローンの繰上返済の仕組みと役割
通常の返済額には元金と利息が含まれます。一方、繰上返済した金額は原則として元金の返済に充てられるため、その元金に対して将来かかる予定だった利息を減らせます。繰上返済には、住宅ローン残高の一部を返す「一部繰上返済」と、残高をすべて返す「全額繰上返済」があります。今回の記事では、返済中にまとまった金額を追加で返す一部繰上返済を中心に説明します。
繰上返済に関連する住宅ローン用語
繰上返済は、住宅ローンを借りた後の返済方法に関係します。
| 用語 | 意味・確認すること |
|---|---|
| 元金 | 金融機関から実際に借りた金額のうち、まだ返していない部分 |
| 利息 | 借入残高や金利、借入期間に応じて支払う費用 |
| 一部繰上返済 | 住宅ローン残高の一部を前倒しで返すこと |
| 全額繰上返済 | 残っている住宅ローンをまとめて完済すること |
| 期間短縮型 | 毎月の返済額を原則変えず、返済期間を短くする方法 |
| 返済額軽減型 | 返済期間を原則変えず、毎月の返済額を減らす方法 |
金融機関によって、方法の名称や最低返済額、手続きできる日などが異なります。

住宅ローンの繰上返済はどんな人に関係する?
住宅ローンの返済中に、手元資金へ余裕ができた人に関係します。たとえば、35歳でマンションを購入し、数年後に貯蓄やボーナスが増えた場合、その一部を繰上返済に充てることで住宅ローンの負担を減らせます。特に次のような人が検討することがあります。
- 定年までに住宅ローンを完済したい
- 毎月の返済負担を軽くしたい
- 変動金利の上昇に備えて残高を減らしたい
- 相続や退職金などでまとまった資金が入った
- 教育費が増える前に返済を進めたい
ただし、子どもの進学や車の購入、修繕積立金の値上げなど、今後必要になる資金がある場合は、その予定も含めて判断する必要があります。
ただし、住宅ローンは返済期間が長く、住宅ローン控除や団信も関係します。単純に「できるだけ早く返すのが正解」とは限りません。
繰上返済の2つの方法
期間短縮型
期間短縮型は、毎月の返済額を原則として変えず、完済時期を早める方法です。返済期間が短くなるため、返済額軽減型より利息を減らす効果が大きくなりやすいのが特徴です。定年後まで返済が続く予定の人や、総返済額をできるだけ減らしたい人に向いています。一方、毎月の返済額は基本的に変わりません。現在の返済額に負担を感じている場合は、家計改善につながりにくい点に注意が必要です。
返済額軽減型
返済額軽減型は、返済期間を原則として変えず、毎月の返済額を減らす方法です。期間短縮型と比べると利息を減らす効果は小さくなりやすいものの、毎月の家計に余裕を持たせやすくなります。出産や進学などで今後の支出が増える家庭や、金利上昇によって返済負担が増えた人にとっては、検討しやすい方法です。
繰上返済前に確認したいポイント
返済後に手元資金はいくら残るか
最低でも当面の生活費と、数年以内に予定している大きな支出を確認します。繰上返済額を先に決めるのではなく、残しておく資金を決めてから返済可能額を考えましょう。
どちらの方法を選ぶか
利息の軽減を優先するなら期間短縮型、毎月の家計改善を優先するなら返済額軽減型が候補になります。金融機関に両方の試算を依頼し、効果の違いを比較しましょう。
手数料と最低返済額はいくらか
インターネットと窓口で手数料や最低返済額が異なる場合があります。住宅ローンの商品説明書や金融機関の会員ページで確認しましょう。
住宅ローン控除への影響はあるか
控除期間中の場合は、繰上返済後の年末残高と残りの返済期間を確認します。税金と利息のどちらが多く減るかは、借入条件や所得によって異なります。
繰上返済後の返済予定はどう変わるか
繰上返済を申し込む前に、完済予定日、毎月の返済額、減少する利息額を確認します。変動金利を利用している場合は、金利が変わった場合の返済額もあわせて試算しておきましょう。
住宅ローンの繰上返済のメリットと注意点
住宅ローンを繰上返済するメリット
- 将来支払う利息を減らせる
繰上返済によって元金が減るため、その元金にかかる予定だった利息を支払わずに済みます。
金利、残高、残りの返済期間によって効果は異なるため、金融機関のシミュレーションで具体的に確認しましょう。 - 完済時期を早められる
期間短縮型を選べば、住宅ローンの完済時期を前倒しできます。
定年前の完済を目指すことで、老後の毎月の支出を減らす計画を立てやすくなります。 - 毎月の返済負担を減らせる
返済額軽減型を選べば、返済期間を大きく変えずに毎月の返済額を減らせます。
生活費や教育費が増える時期に備えて、家計の固定費を抑えたい場合に役立ちます。
住宅ローンを繰上返済する際の注意点
- 手元資金を減らしすぎない
繰上返済したお金は、必要になったからといって簡単には取り戻せません。
生活費の予備、教育費、医療費、家具・設備の交換費用などを残したうえで、余裕資金から返済しましょう。
マンションでは、修繕積立金の増額や一時金の徴収が行われる可能性も考えておく必要があります。 - 住宅ローン控除に影響する場合がある
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高などを基に計算されます。繰上返済で年末残高が減ると、控除額も減る場合があります。
また、期間短縮型によって返済期間が短くなると、控除の借入期間要件に影響する可能性があります。適用条件は入居年や住宅の種類などで異なるため、繰上返済前に税務署や税理士へ確認しましょう。
国税庁は住宅ローン控除の要件の一つとして、一定の借入金について10年以上にわたり分割返済する方法であることを示しています。 - 手数料や最低返済額が異なる
繰上返済手数料の有無や最低返済額は、金融機関や手続き方法によって異なります。
フラット35では繰上返済手数料は不要です。一部繰上返済の最低額は、「住・My Note」から申し込む場合は10万円以上、金融機関の窓口では100万円以上と案内されています。 - 団信の保障対象となる残高も減る
団信は、所定の保険事故が発生したときに、その時点の住宅ローン残高を保険金で返済する仕組みです。
繰上返済によって残高が減れば、団信の対象となる残高も減ります。繰上返済と生命保険の見直しは、家族に残す資金を含めて考えましょう。
参考:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
期間短縮型は完済を早めやすく、返済額軽減型は毎月の負担を減らしやすいという違いがあります。ただし、繰上返済によって手元資金や住宅ローン控除に影響する可能性があります。
返済後に残る生活費と予備費を先に確かめ、家計の目的に合う方法を選びましょう。






