長期優良住宅とは?認定マンションのメリットと注意点
マンションを探していると、「長期優良住宅認定マンション」という表示を見かけることがあります。「普通のマンションより長持ちするのか」「税金や住宅ローンが安くなるのか」と疑問に思う人もいるでしょう。
結論からいうと、長期優良住宅とは、長期間良好な状態で使用するための構造や設備、維持保全計画などについて、所管行政庁の認定を受けた住宅です。
耐震性や省エネ性だけでなく、劣化対策、設備配管の維持管理、将来の修繕計画なども含めて認定されます。
ただし、認定を受けていれば修繕が不要になるわけではありません。購入後も認定された維持保全計画に沿って、点検や修繕、記録の保存を続ける必要があります。
長期優良住宅を一言でいうと
長期優良住宅とは、一言でいうと、長く良好な状態で使用するための性能と維持管理計画について、行政の認定を受けた住宅です。
正式には「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づく認定制度です。
新築時の建物性能だけでなく、完成後にどのような点検や修繕を行うかについても計画を作成します。その計画を所管行政庁へ申請し、基準を満たした住宅が長期優良住宅として認定されます。
2022年10月からは、分譲マンションなどの区分所有住宅について、住戸ごとではなく住棟単位で認定する仕組みになっています。
長期優良住宅に関連する用語・制度
長期優良住宅を理解するときは、次の用語との違いを確認しましょう。
- 住宅性能表示制度:住宅の性能を共通の基準で評価・表示する制度
- 設計住宅性能評価書:設計段階の住宅性能を評価した書類
- 建設住宅性能評価書:完成した住宅の性能を検査・評価した書類
- ZEH:断熱性能と省エネ性能、創エネなどによりエネルギー収支を抑える住宅
- フラット35S:一定の住宅性能を満たす場合にフラット35の金利を引き下げる制度
- 長期修繕計画:マンションで将来予定する大規模修繕や費用を整理した計画
ZEHは主にエネルギー性能に注目した基準です。長期優良住宅は、省エネ性だけでなく、耐震性、耐久性、維持管理のしやすさ、維持保全計画などを総合的に確認します。
長期優良住宅はどんな人に関係する?
長期優良住宅は、マンションへ長く住みたい人や、建物の性能と維持管理を重視する人に関係します。
たとえば、35歳でマンションを購入し、子育て期から老後まで住み続けたい世帯です。建物の耐久性だけでなく、将来の設備配管の点検や修繕方法まで考えられているかは、長期的な住みやすさに影響します。
将来売却する可能性がある人にも、住宅性能や維持管理記録は購入希望者へ説明する材料になります。ただし、長期優良住宅であることだけで、将来の売却価格や売りやすさが保証されるわけではありません。
長期優良住宅を身近な例でいうと
長期優良住宅は、建物について「丈夫に造ること」と「定期的に手入れする計画」の両方を用意した住宅と考えると分かりやすいでしょう。
自動車も、耐久性が高いだけでは良好な状態を維持できません。定期点検や部品交換を行い、その記録を残すことで長く使いやすくなります。
マンションも同じように、新築時の性能だけでなく、共用部分や設備配管を継続的に点検・修繕することが重要です。
ただし、マンションでは所有者一人だけで建物全体を管理できません。管理組合が維持保全計画や長期修繕計画に沿って管理を続ける必要があります。
長期優良住宅の主な認定基準
長期優良住宅の認定では、主に次の項目が確認されます。
- 長期間使用できるよう劣化対策が講じられている
- 大規模地震に対する耐震性が確保されている
- 配管などを点検・補修・更新しやすい
- 将来の間取り変更などに対応しやすい
- 必要な省エネルギー性能を満たしている
- 良好な居住水準を確保できる面積がある
- 地域の居住環境へ配慮している
- 自然災害による被害の防止・軽減に配慮している
- 定期的な点検や修繕を行う維持保全計画がある
すべての項目について最高等級を取得する制度ではありません。長期優良住宅として定められた基準を満たし、行政から認定を受ける仕組みです。
マンションでは住棟単位で認定される
分譲マンションでは、専有部分だけでなく、建物全体の構造や共用配管、管理方法が長期使用に影響します。
そのため、現在の制度では、管理組合の管理者などが住棟単位の維持保全を担う仕組みになっています。
新築時は分譲事業者が認定申請を進め、管理組合の管理者などが選任された後は、所定の手続きによって維持保全計画を引き継ぎます。
購入者が自分の住戸だけを後から個別に申請すれば、簡単に認定マンションへ変更できるというものではありません。
長期優良住宅の税制上のメリット
認定長期優良住宅を新築・取得した場合、一定の条件を満たすと次の税金について特例を受けられます。
- 住宅ローン控除
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税
2026年から2030年までに入居する新築の認定長期優良住宅では、住宅ローン控除について一般住宅より高い借入限度額が設定されています。控除率は年末の住宅ローン残高の0.7%で、新築住宅では原則として最長13年間です。
また、新築マンションの固定資産税では、一般的な一定要件の新築マンションより、建物部分の減額期間が長くなる場合があります。
税制上の特例は自動的に適用されるとは限りません。認定通知書などの必要書類を用意し、税務署、自治体、法務局などで手続きする必要があります。
出典:認定長期優良住宅を取得したときに利用できる減税制度|国土交通省
長期優良住宅とフラット35S
長期優良住宅は、フラット35Sの金利引き下げ対象になる場合があります。
2026年7月時点では、新築の長期優良住宅はフラット35Sの金利Aプランの技術基準の一つです。ZEHの基準も満たす場合は、金利引き下げメニューを組み合わせられることがあります。
ただし、長期優良住宅であれば、どの金融機関の住宅ローンでも金利が下がるわけではありません。利用する住宅ローンと適用条件を個別に確認する必要があります。
長期優良住宅のメリット
住宅性能を客観的に確認できる
行政の認定基準により、耐震性、省エネ性、耐久性、維持管理などを確認できます。
税制の特例を利用できる場合がある
住宅ローン控除、登録免許税、不動産取得税、固定資産税について優遇を受けられる可能性があります。
フラット35Sの金利引き下げ対象になる
条件を満たせば、当初の一定期間について住宅ローン金利を抑えられます。
長期的な維持管理を考えやすい
新築時から点検・修繕計画が作られているため、将来必要な管理を把握しやすくなります。
長期優良住宅の注意点
認定が将来の状態を保証するわけではない
適切な点検や修繕を行わなければ、良好な状態を維持できません。
税制の特例には条件と期限がある
認定を受けていても、入居時期、床面積、所得、申告期限などを満たさなければ特例を利用できない場合があります。
認定マンションはまだ限られる
すべての新築マンションが長期優良住宅の認定を受けているわけではありません。認定を申請するかどうかは分譲事業者の判断にもよります。
維持保全の記録が必要になる
認定後は計画に基づいて維持保全を行い、建築や点検、修繕の記録を作成・保存する必要があります。
資産価値は立地や管理状態にも左右される
長期優良住宅でも、周辺需要、築年数、管理組合の運営、修繕積立金などによって市場での評価は変わります。
契約前に確認したいポイント
正式に認定を受けているか
広告の「長寿命」「100年マンション」といった表現ではなく、長期優良住宅の認定通知書や認定番号を確認します。
認定は住棟全体に適用されるか
購入予定の住戸を含む住棟が認定対象なのか、複数棟あるマンションでは棟ごとに確認しましょう。
どの税制優遇を利用できるか
入居予定年や床面積を基に、住宅ローン控除、固定資産税などの対象になるか確認します。
維持保全を誰が行うか
管理組合、管理会社、分譲事業者の役割と、認定後の手続きや記録の保管方法を確認しましょう。
修繕計画と積立金は十分か
長期優良住宅の認定とは別に、長期修繕計画、修繕積立金の設定、将来の増額予定を確認します。
長期優良住宅のまとめ
長期優良住宅は、長期間良好な状態で使用するための性能と維持保全計画について、行政の認定を受けた住宅です。
税制や住宅ローンで優遇を受けられる可能性がありますが、認定後も計画的な点検・修繕と記録の保存が必要です。
認定の有無だけでなく、維持保全計画を誰が引き継ぎ、どのように実行するのかまで確認できているでしょうか。
