マンションの頭金はいくら入れる?購入後に残す現金から考える

マンションの頭金は、「物件価格の何割を入れるか」だけで決めず、購入後に残したい現金から逆算すると判断しやすくなります。頭金を増やせば借入額や利息を減らせますが、引っ越しや収入の減少に備えるお金も少なくなるからです。
まず購入にかかる支出と、購入後に使うお金を分けましょう。そのうえで、頭金を多く入れる案と現金を残す案を、毎月返済額・利息・手数料・購入後の預金残高で比べます。
頭金より先に、残しておく現金を決める
資金計画を作るときは、次の3つを先に取り分けます。預金残高のすべてが、頭金に使えるお金とは限りませんよね。
購入に必要な費用を取り分ける
登記、仲介、住宅ローン、保険などの費用を、不動産会社の資金計画書と銀行の見積書で確認します。「諸費用一式」のままでは、漏れや二重計上を見つけにくいため、費目と支払日を分けてもらいましょう。
横浜銀行の案内でも、物件価格のほかに税金・手数料・保険料や引っ越し費用などが必要とされています。広告価格からだけ計算せず、家具・家電まで含めた支出を見積もることが出発点です。

近いうちに使うお金を分ける
引っ越し、家具・家電、予定している教育費、車の買い替えなど、時期と金額が分かる支出を並べます。すでに購入費用の見積もりへ含めた項目は、重ねて差し引きません。
投資商品や将来のボーナスを、確実に支払える預金と同じ扱いにしないことも大切です。支払期日までに使える金額で計画を立てましょう。
収入が減った期間の支払いを考える
生活の予備費は、ローン返済に加え、管理費・修繕積立金、生活費などを含めて考えます。税金や保険など年払いの支出も、別に確保しておきます。
例えば、毎月の必要支出を30万円、収入が途切れた場合に備える期間を6か月と仮置きすると、予備費は180万円です。これは説明用の例で、全員に共通する適正額ではありません。各案の返済額、収入の安定性、休職・育休の予定などに合わせて、金額と期間を決めます。
預金-購入費用-近い将来の支出-予備費が、頭金へ回せる金額の目安です。残った額を使い切る必要もありません。
頭金500万円と1,000万円を比べる
同じ4,000万円のマンションを買う場合で比べてみましょう。次の数字は、頭金と残る現金の関係を見るための仮の試算です。
購入前の預金は1,500万円。ローン事務手数料以外の購入費用を250万円、引っ越し・家具等を100万円とします。事務手数料は借入額の2.2%、それ以外の銀行手数料は250万円の中に含める前提です。費用はすべて現金で払います。
試算を見るときは、返し方もそろえます。住宅ローンには、主に次の2つの返済方法があります。
- 元利均等返済:金利が一定なら、毎月返す元金と利息の合計が原則一定。
- 元金均等返済:毎月返す元金が一定。金利が一定なら、当初の返済額が大きく、返済が進むにつれて減る。
以下は元利均等返済でそろえた比較です。 返済は35年・ボーナス返済なし、年2%が全期間変わらないと仮定します。この金利は銀行の提示金利ではありません。 住宅ローン控除、預金の利息、運用収益、繰上返済は含めません。
| 比較する項目 | 頭金を多く入れる案 | 現金を残す案 |
|---|---|---|
| 頭金 | 1,000万円 | 500万円 |
| 借入額 | 3,000万円 | 3,500万円 |
| ローン事務手数料 | 66万円 | 77万円 |
| その他の購入費用 | 250万円 | 250万円 |
| 引っ越し・家具等 | 100万円 | 100万円 |
| 支払い後の預金 | 84万円 | 573万円 |
| 毎月のローン返済 | 約99,379円 | 約115,942円 |
| うち利息(1回目) | 約50,000円 | 約58,333円 |
| うち元金(1回目) | 約49,379円 | 約57,609円 |
| 35年間の利息合計 | 約1,174万円 | 約1,370万円 |
利息と元金は、毎月の返済額に含まれる内訳です。1回目の利息は、借入額×年2%÷12で計算した1か月分の例です。実際の初回返済は、借入日から返済日までの日数などで変わります。
表示額は端数を丸めています。銀行の端数処理や実際の返済日によって差が出ます。管理費・修繕積立金や税金は毎月返済額に含んでいません。
借入3,000万円の案では、最初の返済約9.94万円のうち、約5万円が利息、約4.94万円が借入残高を減らす元金です。この試算では金利が一定なので、返済が進んで残高が減ると、利息の割合は小さく、元金の割合は大きくなります。
頭金を500万円増やすと、毎月返済は約16,563円、35年間の利息は約196万円少なくなります。同時に、購入後の預金は489万円少なくなります。差が500万円にならないのは、借入額が減ると事務手数料も11万円減るためです。
金利と手数料は、2案で取り直す
実際の比較では、借入額だけを変えて同じ金利を当てはめると、違いを見落とすことがあります。
手数料の増減も現金へ反映する
横浜銀行の新規借入向け「融資手数料型金利プラン」では、住宅ローン事務取扱手数料は借入額の2.20%、不動産担保取扱手数料は33,000円で、いずれも税込みです。上の試算は、借入額に比例する手数料の仕組みを使っています。
このプランは変動金利型・固定金利指定型向けで、固定金利型・超長期固定金利型では利用できません。試算の「年2%が35年間一定」という仮定と、この銀行の実際の商品条件は分けて考えてください。
利用する銀行には、2案それぞれの金利・団信・保証料・手数料を入れた見積もりを依頼します。手数料が融資金から差し引かれる場合は、借入額の全額を売主へ送れる計算にしないよう、決済時の入出金も確認しましょう。
融資率で金利が変わる商品もある
フラット35では、融資率9割以下と9割超で金利区分が分かれます。頭金を変えるときは、借入対象の諸費用も含め、銀行が計算する融資率と適用金利を取り直します。
頭金の額だけで低い金利になると決めず、各案の実際の借入条件と、残る現金をセットで比べることが大切です。

手付金と頭金を二重に数えない
売買契約時の手付金が代金に充当される場合、その金額は購入代金への支払いの一部です。頭金500万円の計画で、すでに手付金300万円を自己資金で払っているなら、代金へ充てる残りの自己資金は200万円です。頭金500万円に手付金300万円を重ねて、800万円とは数えません。
資金計画では、契約前の預金を起点にするのか、手付金を払った後の残高を起点にするのかをそろえます。また、ローンで借りられる費用でも、融資実行より前に現金が必要か、立て替えた額がどう精算されるかを銀行へ確認します。
契約済みで頭金を変えたい場合は、銀行へ借入額を変更できるか、再審査が必要か、決済日に間に合うかを確認してください。不動産会社には契約上の借入予定額やローン特約との関係を照合してもらいます。

最後は、残る現金と月々の余裕で選ぶ
現金を残す案では、増えた返済を払いながら、管理費・修繕積立金、生活費、将来の積立を続けられるか確認します。購入時に現金が多く残っても、毎月赤字なら、その現金を取り崩すことになります。
住宅ローン控除を理由に借入額を増やす場合も、住宅区分・入居年の限度額と、自分が実際に受けられる控除額を確認してください。借入れを増やした分だけ、そのまま税金が戻るわけではありません。
2案とも予備費か月々の余裕が不足するなら、頭金の配分だけで解決しようとせず、物件価格や購入時期も見直す対象です。
まず、資金計画書に「購入後に残す現金」の欄を作りましょう。その額を確保した2案の見積もりを銀行から受け取り、残高と返済の両方に無理がない方を選ぶことが、頭金を決める最初の一歩です。






